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次の日――。俺は、とある公園の木の上にいた。
「いっ!」
ただ、ちょっとでも体に力を入れただけで、体全身に痛みが走る。
まぁ、昨日の夜にベッドにも行かず床で寝ていれば、体中が痛くなってしまうのは仕方がない。むしろ、自業自得だろう。
「あの、大丈夫ですか?」
「あっ、ああ。大丈夫です。これでなんとか。よし、怖くないからねぇ」
そう言いながら、俺は必死に手を伸ばす。木の下にいる女性は、俺の様子を固唾を飲んで見守っている。
「ニャー」
俺の手の先にいるのは、怯えて体を小さくしている子猫だ。
どうやらこの子猫は後先考えず、小さい頃特有の『好奇心』のみで登ってしまい、下りられなくなってしまったのだろう。
「あの、きっ、気をつけてください」
「あっ、ああ」
木の高さは俺の身長を簡単に超して……というより、軽く俺の倍くらいの高さである。下手な落ち方をすれば、大怪我ですまない可能性があるほどだ。
「っ、もうちょい」
正直、脚立を持ってくれば簡単に届くだろうと思っていたが、そもそも脚立の一番上に立てれば問題はなかった……のだが、一番上に立った瞬間――。
自分で思った以上バランスが取れず結果として、俺は脚立を広げ、片足ずつ足をかける事にした。
「……」
見た目がかなり不格好になってしまったが、バランスは取れるようになった。
「よし! 良い子だねぇ」
そういう経緯を得つつ、俺はなんとか木の枝にいた子猫を救出する事に成功し、抱きかかえた子猫に触れ、軽く「はぁ」という安堵のため息をついた。
「ん?」
しかし、その瞬間――。
「おっと。あっ、うわぁー!」
「えぇ!」
脚立を降りる途中で『子猫を助けられた』と、ふと気を抜いてしまった俺はそのまま足を滑らせ、脚立から落ちた――。
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