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「どうした?」
『あ、ごめん。こんな時間に』
「いや、別にそれは構わないが。いっ!」
『大丈夫? 兄さん』
電話をかけてきたのは、俺の弟だった。現在はとある事情で入院をしている。
俺が言うのもあれだが、兄思いの優しい弟だと思っている……のだが、ここ最近は、その度を越して段々と『お母さん化』している様に感じている。
「あっ、ああ。悪い、昨日。床で寝た上に、今日は脚立から落ちたもんだからな」
『……え。大丈夫なの?それ』
「ああ、大丈夫だ。さっき湿布も貼ったからな」
『でも、脚立から落ちたのはともかく、全身が痛いのは兄さんの自業自得だよね?』
「ははは、返す言葉もないな」
『まぁ、大丈夫ならそれでいいんだけどね。それはそれとして、気をつけなよ? ここ最近、なんか物騒になっているらしいし』
「ははは、本当に母親みたいだな。俺はそこまで子供じゃないぞ?」
『そっ、そういうワケじゃないんだけどさ。ほら、夜道って危ないって言うじゃん? 僕は兄さんが心配で……』
「ああ、そうだな。でも、大丈夫だ。今日は外に出る予定もない。それに何より体が痛い」
『ははは、そうだね』
そんな他愛もない会話をしていると、突然弟から『ところで、明日……来れないかな?』と切り出してきた。
「ん? どうした、お前から来てほしいなんて」
『えと、ちょっと聞いて欲しい話あって』
「……分かった。明日の昼頃にはそっちに行く。病院が近くなったら、また連絡する」
『うん、分かった』
弟はそう言うと、俺は向こうが電話を切るのを確認した後。自分の電話を切った。
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