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「さてと、ここのどこだったか」
事務所兼自宅から出て少し歩いたところには『住宅街』あり、その住宅街の中にある一軒に『目当てのお店』はあった。
弟がいる病院を訪問する時は、大抵ここのシュークリームを買って行く。
「ふぅ……」
見上げた看板には大きく『町のケーキ屋さん』と書かれた看板いる。おかしな名前を下手につけるより、これくらい分かりやすい方がむしろ潔いと思う。
ただ、実は光は甘い物が苦手だ。
しかし、ここのシュークリームなら何度か食べていて……まぁ、ただ単純に気に入ったのだろうが、あえて光が口に出すことはない。
「…………」
このまま図体のでかい人間が立ち止まっていても、他の客の迷惑になる。
「それに、買うモノもあるしな」
そう独り言を呟き、軽くそのまま店へと入って行った。
弟は簡単に言うと、兄である俺が言うのも変な話だが『儚げな雰囲気を纏っている少年』だと思う。
それは多分。長い入院生活の中で纏ってしまったモノだと思うが、実のところ可愛らしい笑顔の少年で、結構なお節介焼きでもある。
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