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「お会計は四点で千二百円になります」
「じゃあ、二千円で」
「八百円のお返しになります」
「はい」
そう返事をしながら、目の前に置かれたレシートと小銭を財布にしまった。
「いっ、移動時間はどのくらいになりますか?」
店員は、俺がおつりを財布に入れたのを確認した後。シュークリームを丁寧に紙の箱を開けたままそう尋ねてきた。多分、保冷剤の数を知りたいのだろう。
「あー。十五分ほどです」
「かしこまりました」
俺たちがそう言うと、保冷剤を一つ入れた。
「…………」
ふと見えた店員の安堵の表情は、多分「このやり取りが終われば、後は見送るだけだ」という気持ちが透けて見えたような気がした。
「ありがとうございましたー」
そして、お店から出る時の店員の笑顔は……何となく緊張から解放されたように見えた。
「…………」
でもまぁ、色々なお客の対応をして、回数をこなしていくうちに否が応でも『慣れる』だろう。
「さて、ご所望のモノも無事に買えたし、行くか」
そして、俺はお店のある道をすぐを右に曲がり、そのまま道をまっすぐと進み『弟がいる病院』へと向かう事にした。
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