現実を拾え

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大学に着いて奏音が自転車を停めるのを待って一緒にエレベーターに乗る。 「今日は私もバイトないし、(あきら)さんも仕事終わったらしいから大学終わったら会うの!」 ウキウキな奏音。 晃ねぇ…。 「駅員ってそんな早く仕事終わるの?」 「昨日は泊まりだったんだって!だから、さっき 終わって一旦家に帰って休むって!」 へえ。 「てかさ、その駅員っていくつ?まさかおじさんとか…不倫じゃないよね?」 駅で見かける顔を思い出して嫌な想像をかき消すようにちらっと奏音を見た。 「んー?25!おじさんじゃないし、独身だって言ってたから不倫でもないよ!」 ぷうっと膨れる奏音を見て、とりあえずほっとする。 でも、そんな若いの居たっけ? 奏音の好きなイケメンなんて居ない気がするけど。 「今度こそ大丈夫!ちゃんと仕事してるし、真面目な人だから」 今までの元カレを思い出したのか、奏音のテンションがちょっと下がる。 「…まぁ、慎重に付き合ってみたら?」 「うん!」 「慎重に!だよ?…わかってる?」 「わかってるって!」 にこにこ笑う奏音を見てため息を吐いた。
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