現実を拾え

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次の日…2限からの私はあくびを噛み殺しながら電車から降りてぐっと伸びをした。 目の前に居るお婆ちゃんがふらふらと歩いていて声を掛けた方がいいのか悩む。 電車は今走って行ったからしばらくは来ない。 線路から多少距離はあるから落ちることはなさそうだけど…歩き去っていいものか。 「関川(せきかわ)さん。おはようございます。大丈夫ですか?今日娘さんは?」 駅員さんが走ってきてふらついているお婆ちゃんを支えて歩き出した。 「あー、新田(にった)さん。おはようございます。今日、娘は孫の学校に行っていてね」 駅員さんが付いていれば安心か…と横をすり抜ける。 メガネの駅員さんはぺこっと頭を下げて微笑んだ。 あ、もしかして…。 若そうに見えるその顔を見て私も小さく会釈をしながら歩いて改札を抜けた。 奏音の彼氏って…あの人? 今までの彼氏たちを思うとかなり地味で目立たない感じの人。 駅の中をきょろきょろ見てみても他の駅員さんはおじさんばかり。 あの人なら…いい印象? 優しくお婆ちゃんを支える姿を思い出しながら私は階段を上った。
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