ゲームブックとは

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 空気の流れに従って行くと、広い空間に出ました。天井も高く、うんと遠いところに穴が空いています。  どうやら雨は止んだらしく、穴からは月の光が差し込んでいました。闇がただよう中、中央に光は落ちて地面を照らしています。  丸い光の真ん中には、小振りの花が咲いていました。月明かりに照らされて、水滴がキラキラと宝石のように輝いています。  束の間、怪物はその美しさに見惚れてしまいました。  しかし、岩を引っかくガリガリという音に、ハッとして振り返ります。道のすぐ先にクモが迫っていました。  針のように細い脚が怪物目掛けて伸びてきましたが、横へ飛んでなんとかかわします。突進したクモは勢いを殺すことができずに、壁へ激突してしまいました。  ぶつかった衝撃で洞窟内は大きく揺れ、頭上からは小石がパラパラと降ってきます。  クモはのっそりと怪物へ向き直りました。怪物を見据える目は赤く、それがクモの怒りを表しているようで、怪物は震え上がります。
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