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六杯目 自販機の玄米茶
ナツの婚約者がもうすぐ迎えに来るというので、わたしたちの二次会はお開きとなった。
「じゃあ、またご連絡しますね。
二次会まで誘っていただきありがとうございました!」
そう言って車に乗り込むナツ。外車の運転席から、ジム・キャリーというよりはブラピって感じのイケメンが、丁寧にぺこりと頭を下げていた。
駅前のロータリーで並んで手を振ったあと、JRで帰るよっぱらい三人組を改札で見送る。
「アキバくん、ちゃんとアカリのこと送ってあげてね!」
「もちろんです!」
「送りオオカミになるなよー!」
「あっ、それは保証できないかもです」
「またまたぁ、そんな意気地ないくせに~!」
「あっはっは、ですよねぇ~!」
「もう、勝手なこと言って!
ほら、電車出ちゃうよ、気を付けてねっ!」
そんなわたしの言葉に、三人はヤバイヤバイとエスカレーターに乗った。
相葉くんとふたり、見えなくなるまで手を振る。そして三人が完全に見えなくなってから、彼は右手の動きを止め、普段よりちょっと低めの声で話し始めた。
「……成瀬先輩と付き合ってたの、知らなかったんだけど。
どういうこと、アカリ」
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