六杯目 自販機の玄米茶

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「で、いつ言うの? おれと結婚するって話」  あー……。  わたしは玄米茶を一口飲んで、あえて彼の方へ顔を向けずに話す。 「えっとー、おいおい?」 「アカリが『自分から言いたい』って言うから黙ってたのに」 「だって今日の流れじゃ無理じゃん!」 「まぁたしかに、今日は濃すぎたけど……。  ほんとはおれ、今からだって電話して自慢したいくらいなんだよ?  やっとアカリ先輩と付き合えました、なんなら結婚します、なんなら……」 「あ、電車来た!」  そうはぐらかすわたしに、相葉くんは「まったく」と呟く。  そこそこ混んでいる電車に、相葉くんにかばってもらいながら乗り込んだ。 「アカリ、座りなよ」  相葉くんが指さした先は、一人ぶんだけ優先席が空いていた。 「えっ、いいよ。今日は調子がいいから……」 「だーめ。いくらつわりが軽いからって、今日は無理しすぎ!」  そう心配する彼に、わたしはわたしで「過保護だなぁ」と呆れながら席に座った。  相葉くんは「よろしい」なんて言って、わたしの頭をくしゃりと撫でる。  さすがに、早くみんなに言わなくちゃいけないことはわかってる。  結婚するだけならまだしも、来年になれば――。  あぁ、こんなこと言ったら、あの三人はどんな反応をするんだろう。  考えるだけでぞっとしながら、わたしは自分のお腹を、やさしく、軽くさすった。  おしまい。
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