嘘に隠れた本当は虚像だった

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 それから、一週間経ち、憂鬱な学校が始まった。朝の通学路では、隣にいつもいた彼女の姿はもう無い。でも、仕方がないんだ。なんて、彼女のせいにしては、そんな自分が恥ずかしくなる。  校門を潜り抜け、昇降口に貼ってあるクラス分けを見た。  自分の名前は、『秋原(あきはら) 裕樹(ゆうき)』と言う名前は、四組の中に入っていた。番号は去年と同じ二番。それを確認したはずなのに、僕は何故かまだ名簿を見ていた。彼女の名前を、『佐野(さの) 愛菜(あいな)』と言う名前を探してしまっていたのだ。 「……ない」  でも、何処にもなかった。勿論、何度も見直したのだが、やはりない。何処にも書かれていない。  それが分かったと同時に、ふとある考えが過ぎり始めた。  彼女は『好き』という嘘をついたのではなかったとしたら。途端、様々なことが繋がり始める。  あの日、彼女は嘘なんて一つもついていない。そもそも、彼女は元から嘘吐きだったんだ。愛菜の嘘は『嘘を一つだけつく』という事。それが何のためにかは、もう分かっている。  エイプリルフールに嘘をついたのはお互い様だったのだ。  僕は僕に、「彼女のことが好きではない」と嘘をついていた。僕も彼女も初めから嘘吐き。  虚無感の正体が分かり、途轍も無い程の心の穴を見つけ、ただ打ちひしがれていた。でも、後悔だけは無かった。  こんな関係は要らない。嘘吐きはいらないのだから。
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