こじらせ女子の頭の中

2/2
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「でもさ…小山君も、すごいじゃない」  笑美子がぎこちない笑顔と声で小山を見る。 「何が?」  小山が目を少し大きくさせて笑美子を見る。  じっと見られて、その真直ぐな視線に  ヒュッと心臓が掴まれたように感じる笑美子。 「あ…あの…ほら……」 「何?」  小山がなんの邪推もない瞳を向ける。  反射的に笑美子は視線をそらす。 (し…心臓に…悪すぎ…こういうとき、 世間一般の女性は、同じように笑顔を返すのかしら) 「あ! もしかして、あの事?」  小山の顔が少し遠のいた。 (心臓に悪かったけど、  整った顔はもう少し見ていたかったかも…… いえ、何、言ってるの、 相手は私のこと蹴落とそうとしているに、 油断ならないわ)  笑美子は自分に言い聞かせる。 「あの…事って……」  笑美子は慎重に聞き出そうとした。  「営業で、靴を一足履き潰したって、  江崎が言ってたこと」  小山が笑美子の言いたいことを  代わりに言ってくれてホッとする。 「そうそう、それよ。今の時代、 そこまでできる人ってなかなか いないわよ。 ホント! 尊敬しちゃう」 笑美子がやっと褒めることができたと思ったが、 小山の顔が曇る。 (どうしたの? 私、何か、まずいこと言った?) 「うーん」  小山がが小さく唸りながら、 窓の外を一回見て、 諦めたような顔が新幹線の窓ガラスに映った。 「実は、アレ、ちょっと、違うんだ」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!