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★★★ジョン・ステイン★★★
これがボブの言っていた『醤油の香り』というやつか。
好きになれそうにないな。
成田空港に到着したアメリカ人ビジネスマンのジョン・ステインは、その鷲鼻で忌々しそうに日本の空気を吸いこんだ。
ジョンは、日本の製造メーカーに、自社の開発した人工知能ソフトを有利な条件で売り込むために来日した凄腕のビジネスマンである。
彼は、ヨーロッパの自動車メーカー、中東の武器商人、中国の衣料製造メーカーなど、国や業種を問わず自社の商品を売りさばく国際的営業マンである。
「やれやれ、折角の自分の誕生日に、こんな極東の島国に来ることになるとは…」
ジョンは、空港のベンチに座りながら、カバンの中のある、『女の子のカウボーイ人形』を優しく手に取った。
この人形は、ジョンの娘ジェニーが、日本への出発前に手渡してくれた人形である。
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