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ジョンは、スマホを片手に持ちながら、団体客らしき一団をすり抜けるように空港のタクシー乗り場に向かう。
「日本人相手ですから心配はいりません。明日の夜はSUSIでも食べながら、一人で契約をお祝いしますよ。ハハハ」
その時、うっかりカバンから落ちてしまった女の子のカウボーイ人形は、空港の床の上で、笑いながら小刻みに揺れるジョンの背中を見ていた。
★★★鈴木・愛子★★★
アメリカ旅行から成田空港に帰国した鈴木一家4人が、バス乗り場に向かっている。
父親と母親は、スーツケースなどの荷物の他に、機内で寝てしまった弟を抱えている。
リュックを背負った姉の鈴木愛子9歳は、その3人の後を大人しくついていた。
あっ、お人形さん。
こんなとこにいたら、皆に踏まれちゃう。
愛子は、床に落ちていた『女の子のカウボーイ人形』を手に取った。
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