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私が可哀想だからという理由で特別に貸してくれた人形なのに。
困ったことにジェニーは、妻に似て、一度怒り出すと数日は口をきいてくれない。
大変なことになる。
もはやジョンの頭の中は、明日の商談ではなく、帰国後の言い訳の心配でいっぱいだった。
★★★神山・蘭(らん)★★★
愛子は、都内に向かうバスの中で、通路を挟んだ隣の席で、自分より小さな女の子がシクシク泣いているのを横目で見ていた。
「蘭、泣かないで。しょうがないじゃない」
「だって、だって」
母親らしき女性に、「蘭」と呼ばれいる女の子の手には、ソフトボール位の四角い箱があった。
「割れてしまったのはしょうがないじゃない。日本にも素敵なカップがあるから、今度買いにいきましょ」
「これが好きだったの」
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