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どうやら、帰りの機内の中で、外国で購入した素敵なカップが割れてしまったようだ。
愛子は、いつまでもシクシク泣いている蘭を見ていると、自分も何だか不思議と悲しくなってきた。
この辺は子供独特の感情である。
お姉さんという存在に憧れていた末っ子の愛子は、自分がどうにかしてやらなければという気持ちになった。
そして、リュックから、カウボーイ人形を取り出し、蘭の目の前に勢いよく差し出した。
「ん?」
蘭の泣き声がピタリと止み、蘭と彼女の母親が、愛子に顔を向けた。
「このお人形可愛いでしょ」
「う、うん。可愛いし、カッコイイ。名前は?」
「えっ、名前?そうねえ、ええと、ええと、そう、ジェニーよ」
愛子は、突然閃いた名前を口にした。
「ジェニー?ふうん」
「ジェニー、あなたにあげるわ。だから、もう泣かないで」
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