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真っ黒いスペード型の痣
私の曽祖父ジュマは1854年生まれであるにも関わらず、1984年の誕生日まで、まるで18歳の若者のようであった。
私は幼い頃、ザンジバル諸島の海岸に浮かぶ小さな島で、ジュマと二人きりで生活していた。
ジュマは私に何度も『リンドブルムの伝説』を語って聞かせた。
私は怯えた。なぜなら私の背中の中央には真っ黒いスペード型の痣が、くっきりと浮かび上がっていたからだ。
ジュマは私に言った。
「僕も子どもの頃、おまえと同じ痣が背中にあった。18歳になって体が腐って死ぬのではないかと毎日怯えていた。けれど、こうして今も元気でいられるのは、17歳の時、リンドブルムに出会ったから。美しい紫のエキスを全身に浴びせられた。おまえなら必ず会える。リンドブルムに。」
けれどジュマは、私の次の質問に答えてくれなかった。
「どうすばリンドブルムに会えるの?」
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