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   ジュマは消えた。  私はジュネーブの全寮制の学校で6年間、生活した。  13歳になった時、父は古城に私を呼び出して言った。 「今日から、お前はこの城で暮らすのだ。必要な物があれば何でも与えよう。お前は自分の呪いを解くために何としてもリンドヴルムを探し出すのだ。この城のどこかにリンドヴルムを呼び出す秘密があるはずだ。それを見つけてリンドヴルムに出会わなければ、お前は18歳で命を落す。普通に学校に通って呑気に勉強してる余裕はない。もちろん、お前はまだ子どもだから様々な専門知識を持つ優秀なスタッフや遊び相手となる友人も準備しよう。お前の命のためだ。そのためなら父さんは財産のすべてを失っても惜しくない。」  父は企業家でお金はたくさん持っている。 「父さんは、どうやってリンドブルムに出会ったの?」  私の、その質問に対する父の答えは驚くべきものであった。 「お前は本当はジュマの息子なんだ。私の4人の兄妹の中で妹のミアだけが背中に痣を持っていた。ミアを心配し可愛がっていたジュマに、ミアは恋をして、17歳の時、ジュマとの子どもを身ごもった。ミアは体が腐り始め腐乱死体のように崩れて死んだ。崩れたミアの遺体から、お前は生まれた。もう、おまえだけなんだ。地球上で、そのスペードの痣を持っている人間は。」  
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