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 オフホワイトとブラウンで仕立てられた、落ち着いた空間。天井のシャンデリアは決して華美でなく、楚々として控えめに輝いている。 「いらっしゃいませ、川崎様」  担当の店員がサキの姿を認めて、声をかけてくれた。 「こんにちは。また見せてもらいます」  サキは笑顔でそう返し、近くのガラスケースを覗き込む芳之を振り返る。 「芳之、岩田さんだ」  そう声をかけられた芳之は顔を上げ、岩田の顔を見てにっこりと笑う。 「こんにちは」  今日も、彼はとても美しい。今朝梳かしてやった赤く長い髪は、ツヤツヤとシャンデリアの光を反射して輝いているし、ピンクのカラーコンタクトが覆う瞳も、店内の宝飾品の輝きに負けない程に眩い。 「長崎様もようこそいらっしゃいませ。ネックレス、お使い頂いているのですね。ありがとうございます」  彼の胸元には、以前サキが気まぐれで贈ったネックレスが輝いている。ここで買い求めた物だ。その時はさしたる意味もなく、彼が気に入って選んだだけの、3色の貴金属の輪が連なったもの。 「うん、可愛いから毎日つけてるよ。ね?」  芳之はそう答えて、サキの顔を見上げる。頷いて続けてやる。
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