序章『永遠の終わり』

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序章『永遠の終わり』

 あ、なんか心がざわつくな、と感じたのは、普段とは違う道を歩いているからだろうか。  今日はオープンしたばかりのスーパーへ行く為に、珍しく遠方まで足を運んでいた。片道三十分以上かかったが、その甲斐あって今日は久しぶりに牛肉を使用した夕食にありつける。  ドライアイスを使用しているとはいえ、初夏なので気持ち急いで自宅まで向かった。  年季の入った住宅が建ち並び、車も通らずに辺りはシンとしている。学校帰りに向かったので、すでに視界が暗くなりつつあった。  見慣れない風景だ。あまり地元以外は外に出る機会がなく、都会に来た田舎の人のような顔になった。  初めて歩く道なだけにどんどん不安が押し寄せる。オープンセールに目が眩んだものの、やはりいつもと違うと、気持ちが落ち着かない。無意識に小走りになった。  平和がつまらないとは贅沢な我儘といったところ。何事も変わらぬことが一番、とは身をもって実感していた。  馴染みの光景が目に入って安堵する。地元に辿り着いた頃には日は落ちて、辺りは暗くなっていた。  自宅に辿り着くと、中に入る前に玄関前の花壇に水をやる。習慣となっていたので身体が勝手に動いていた。  そのまま流れるようにポストを確認する。が、今日はそこで引っかかる。  ポストの中には小包があった。宛名を見ると私の名前が書かれている。しかし通販をした記憶もなければ、友人から何か贈られるという連絡も来ていない。  不思議に思いながらも、小包を持って家の中に入った。 序章『永遠の終わり』
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