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(あー! いつ読んでもドキドキ! 今日も星、送っておこう)
今夜も私、小野寺清香は、小説投稿サイトに掲載されている恋愛小説を読み、感慨に耽っていた。
投稿している作家さんの多くはプロではなく、普段は作家としてではない生活を送りながら、本業の合間に作品を書き上げている方がほとんどのようだ。
それでもこんなに私をドキドキさせてくれるお話を創り出し、楽しませてくれる。その熱意と完成度が、単純にすごいと思う。
(この人はすごいな)
私は読み続けている作品の作家名を、画面上で見つめた。
『綾瀬リカ』
きっとペンネームなのだろうけれど、この作家さんは一体どんな人なのか。
私のような会社員か、あるいは主婦か。
何にせよ私にとって綾瀬リカさんはドキドキをくれる大切な人で、もう生活の一部と言っても過言ではないほどにハマっていることは確かで。
恋人がいなくなってもう一年、いや二年だろうか。
時間を持て余した二十六歳独身女のお楽しみが、この小説投稿サイトをチェックすることなのだ。
もちろん綾瀬リカさんより人気のある作品を投稿し、書籍化させている作家さんもたくさんいる。
それでも私を一番キュンとさせてくれるのは綾瀬リカさんの作品で、それはもう赤い糸に引き寄せられるような感覚なのだ。
まあ、相手は女性、なのだろうけれど。
「ピピピ、ピピピ」
就寝時刻を告げるスマホのアラームを止め、現実に戻った私は一人、ベッドに潜り込んだ。
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