第八話 ペア決定、小隊編成

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第八話 ペア決定、小隊編成

アレク達の職業は、以下の通りとなった。  アレキサンダー・ヘーゲル 騎士(ナイト)♂  ルイーゼ・エスターライヒ 暗殺者(アサシン)♀  アルフォンス・オブストラクト 戦士(ウォーリアー)♂  ナタリー・チャウデゥリー 魔法使い(メイジ)♀  エルザ 剣士(ソードマン)♀  トゥルム・ドルジ 槍術士(スピアマン)♂  ドミトリー・ボグザ 修道僧(モンク)♂    ナディア・フロレスク精霊使い(シャーマン)♀  職業の登録が終わった入学式会場に再び軍監の声が響く。 「これより一緒に教練を行うペアを決定する。なるべく男女で気の合う者同士で、二人一組になるように。」  軍監の声に会場がざわめく。  アルが気の抜けた声を上げる。 「気の合う男女でペアねぇ・・・」  軍監の説明を聞いたアレクは、母のナナイから聞いていた話を思い出した。  母ナナイは、士官学校でのペア編成の時に、入学式典会場の中央で、士官学校の全学生、全教官などが見ている前で、父ラインハルトから『騎士の古典的典礼』に則ったスタイルでペア結成を申込まれた。  『恥ずかしかったが、初恋の相手であるラインハルトからペア結成を申し込まれ、とても嬉しかった。』と。 (私の相手はルイーゼしかいない。小さい頃から、ずっと一緒だった)  アレクは意を決すると、ルイーゼの手を引いて入学式典会場の中央に向かう。  驚いたルイーゼが尋ねる。 「ちょっと! アレク!? どこ行くの??」 「良いから!」  アレクがルイーゼを平民組から引っ張り出す形で、二人は入学式典会場の中央、ちょうど貴族組と平民組の間となる空間に立つと、二人は向き合った。  会場のざわめきが消え、アレクとルイーゼの二人に周囲の注目が集まる。  アルがナタリーに話し掛ける。 「あいつら、何する気だ・・・?」 「さぁ?」  アレクは『騎士の古典的典礼』に則り、片膝を着き、掌を上に右手を差し伸べてルイーゼを見つめる。  ひと呼吸置いて、そしてルイーゼに言った。 「ルイーゼ・エスターライヒ騎士爵令嬢、よろしければ私とペアを組んで頂けますか?」  士官学校の全学生、全教官などが見ている前での『騎士の古典的典礼』に則ったアレクからの申込みにルイーゼの顔は、嬉しさと恥ずかしさで、みるみる赤くなる。  ルイーゼは、ずっと幼馴染のアレクのことが好きだった。初恋である。  しかし、アレクはバレンシュテット帝国を統べる帝室の第二皇子であり、準貴族の騎士爵家に生まれたルイーゼは皇宮のメイドでしかなく、どんなに恋い焦がれても、アレクとは天と地ほどの身分の差があるため、ルイーゼがアレクへの好意を口にすることは憚られた。 (アレクが自分を選んでくれた。)  衆目の中で想い人に選ばれたルイーゼは、嬉しさと感動で胸が一杯になり、涙ぐむ。 「喜んで」  ルイーゼは、そう返事をすると、差し出されたアレクの掌の上に自分の右手を置く。  おとぎ話にある騎士物語のワンシーンのような状況に、周囲から歓声と拍手、感嘆の声が湧き上がる。  ルイーゼは、立ち上がったアレクと腕を組み、その顔を見上げる。  アレクも照れている面持ちであった。  ルイーゼの瞳から大粒の涙が溢れる。  アレクは、ルイーゼが涙を流していることに驚く。 「どうしたの? 大丈夫??」 「ううん。嬉しいの」  そして二人は、平民組の仲間のところへ歩いていった。   仲間たちが戻って来た二人の周囲に集まる。   アルが口を開く。 「やるじゃないか! アレク!!」  エルザが二人を冷やかす。 「見せつけてくれるねぇ~。お二人さん!!」  ナタリーが感想を口にする。 「素敵だったわ!」  ナディアも感想を口にする。 「王子様とお姫様のプロポーズみたい!!」  トゥルムも褒め言葉を口にする。 「素晴らしい!!」  ドミトリーも称賛する。 「見事な『騎士の古典的典礼』であった!!」  そして、遠くから二人のやりとりを見守っていたジカイラも、二人に拍手を贈っていた。 (やっぱり、アレクはお前の息子だよ。ラインハルト。血は争えないな)  入学式会場に再び軍監の声が響く。 「時間だ。次にペア四組で一個小隊を編成する。なるべく同じ寮で組むように。組めなかった者はこちらで強制的に編成する。」  アレクが皆に話す。 「小隊は、寮の八人で決まりだね。」  提案に異論は無く、アレクは直ぐに係員に小隊編成を報告した。  係員が答える。 「一番最初か。『01小隊』っと。小隊長は報告者の君だ。」  小隊長はアレクがやることになった。  やがて軍監から解散指示が発せられる。 「小隊編成が終わった者は解散。明日までに小隊旗のデザインと通称(コールサイン)を決めておくこと。明朝、報告するように。」 -----  小隊の編成は以下のとおりとなった。 01小隊  隊長:アレク 副隊長:ルイーゼ 第一分隊 アレク:騎士(ナイト) ルイーゼ:暗殺者(アサシン) 第二分隊 アル:戦士(ウォーリアー) ナタリー:魔法使い(メイジ) 第三分隊 ドミトリー:修道僧(モンク) ナディア:精霊使い(シャーマン) 第四分隊 エルザ :剣士(ソードマン) トゥルム:槍術士(スピアマン)
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