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決意が固まったのか、優花は立ち上がると、夕月と向かい合わせになり、頭を下げました。
「お兄さん、わたしのなやみをきいてくれて、ありがとうございました」
「いえいえ。参拝者の悩みを聞くのが、僕のお勤めですから。
さて、優花さんにはこれを、差し上げましょう」
夕月が手のひらを向けると、そこには狐の顔の形をしたお守りがありました。
「うわぁ。かわいい」
「これには、優花さんが無事にお家に帰れるように。そして、無事に悩み事が解決しますように、僕のお祈りをこめています。どうぞ」
夕月はお守りを、優花に差し出します。
「でも、お守りは、お金がかかるものだから」
遠慮する姿勢を見せる優花ですが、その目はお守りに釘付けです。
夕月は微笑みます。
「ご心配なく。すでにお代はいただいております」
「え?」
優花は不思議そうな顔をします。
「優花さんは、お賽銭をいれてくれたでしょう?」
「あ」
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