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優花は振り返ります。
そこには、白い着物に浅葱色の袴をはいた青年がいました。
「だれ、ですか?」
「あぁ、失礼いたしました。名乗るなら、まずは自分からですよね」
青年はコホンッと咳払いをすると、胸に手を当てました。
「はじめまして。僕の名前は夕月と申します。夕方の月、とかいて夕月。この黄昏神社の……宮司をさせていただいております」
「ぐうじ?」
聞き慣れない言葉に、優花がきょとんとした顔をすると、夕月は苦笑しました。
「わかりやすく言うと、管理人のようなものです。
お嬢さんのお名前を、聞いても良いですか?」
「……ゆうか、です。字は、ママが『やさしいお花』て、言ってました」
「『優しい花』で、優花さん。とても良いお名前ですね」
優花はコクリと、頷きます。
「さて、優花さんはどんな悩みがあって、ここにいらっしゃったのですか?」
「え?」
夕月は「おや?」と小首を傾げます。
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