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夕月は優花と目線を合わせるように、その場にしゃがみました。
「優花さん。この黄昏神社に来るには、条件があるんです」
「じょうけん?」
優花の問いかけに、夕月は頷いて答えます。
「その条件とは、『一人ではどうしようもない、大きな悩みを抱えている』ということです」
「大きな、なやみ……」
「はい。優花さんがここに来たのも、ご縁ですから」
優花は言いにくそうに、体をもじもじとさせます。
「おこりませんか?」
「もちろんです。人の悩みを聞くのが、僕のお勤めですから。どうぞ、そこの社殿の階段にでも座ってください」
夕月に促され、優花は階段に座ります。しかしうつむいたまま、口を開きません。
夕月は優花を急かすようなことはせず、のんびりと彼女が話し出すのを待ちます。
「わたしね、かわいそうな子なんだって」
優花がやっと口を開きました。
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