逢魔が時、黄昏神社で逢いましょう

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「ママにはナイショだけど、小さいときから、いろんな人に、いわれてたんです。  きんじょのおばさん。ほいくえんの先生。お友だちにも。そのママにも。  みんなに『パパがいなくて、かわいそうな子』だって」  夕月は顔をしかめました。あまりにも理不尽なことだったからです。 (他人からすれば、父親がいないというのは、哀れにみえるでしょう。しかし、そのことを幼い本人に聞かせるなんて)  夕月の心配をよそに、優花の話は続きます。 「でもね、わたしはママがいればよかったんです。ママは、まい日、おしごとをがんばっているのに、いつもわたしのために、あそんでくれたりするから。だから、パパがいなくても、しあわせだもん」 「優花さんは、ママさんが大好きなんですね。それにママさんは、優花さん想いの立派な人ですね」 「うん! じまんのママなの!」  優花は母親を褒められ、満面の笑みを、夕月に向けます。
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