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「でも、このあいだ、いもうとがうまれたんです」
「ほう。それはそれは」
夕月はめでたいことだと言いそうになって、口をつぐんだ。自分よおり幼い守るべき存在ができたことに悩んでいる優花に、言うべき言葉ではないと思ったからだ。
「さいしょは、いもうとができたこと、うれしかったんです。だってわたしはおねえちゃんになったってことだから。だけどいもうとがうまれてから、ママも新しいパパも、いもうとにつきっきりで……。まわりの人はまた、わたしのことを『いつもひとりで。かわいそうな子』だって」
ついに優花は黙ってしまいました。
夕月は優花の思いを知り、悲しみと同情が入り交じった表情を浮かべます。
「優花さんは、さみしいのですね」
「……うん。でも、おねえちゃんになったから、がまんしなきゃ」
「それはご両親が、パパさんとママさんが言ったのですか?」
優花は首をぶんぶんと、首を横に振る。
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