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「今の優花さんのパパさんとママさんは、生まれたばかりの妹さんを中心に、物事を考えがちになっています。
それは、赤ちゃんというものは、とても弱い生き物だから、周りが守ってあげなくてはいけないからです。
しかし決して、優花さんを忘れたわけではありません。それは、わかりますか?」
「うん。まいにち、だいすきのぎゅーを、してくれるから」
夕月はその様子を想像して、微笑ましそうに目を細める。
「ならばなおさら、自分のしてほしいこと、やりたいことを口にしてみましょう。きっと、かなえてくれるはずです」
「……言っても、いいのかな?」
「わがままの言い過ぎはよくありませんが、ちょっとのわがままは許されるはずです。優花さんは、とても大切にされているのですから。だから、我慢をせず、口に出して言ってみましょう。そうじゃないと、伝わりませんよ?」
「口に、だす」
夕月の言葉を反復する優花。夕月は優しい顔で、彼女を見つめます。
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