逢魔が時、黄昏神社で逢いましょう

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 時刻は夕方。学校帰りの優花(ゆうか)は、うつむきながら、道をトボトボと歩いていました。 「はぁ」  優花は深く、ため息をつきました。そのとき、  チリン  どこからか鈴の音が聞こえました。  優花は辺りを見回し、あるものを見つけます。 「とりいだ……」  優花はおそるおそると、神社に近づきます。  鳥居の額束(がくつか)には、神社の名前が書かれていますが、優花には字が難しすぎて、読めませんでした。  境内の中に入ると社殿があり、その前には一対の狐の像と賽銭箱があります。 「あ、おさいせん」  優花はランドセルにつけているポーチから、五円玉を取り出し、お賽銭箱に投げました。  チャリン  お賽銭は軽やかな音を立てて、お賽銭箱の中に落ちていきます。 「なにか、お悩みですか?」  穏やかで柔らかい声が、優花の後ろから聞こえてきました。
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