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「では今後気をつけます」 「うむ、よろしい」  そう言って会話は終わって、私たちはまた漫画の続きを読み始める。  しかし、ふと気になったことがあった。 「でもさ、何で1192なの? 誕生日とかじゃないし」  「鎌倉時代が大好きでさ。ほら、鎌倉幕府が成立したの1192年でしょ」  誕生日みたいなもんだよ、と数也は楽しそうに言った。  私は「あれ?」と首を傾げる。 「1185年でしょ。鎌倉幕府ができたのって」 「え」  目を見開いて言葉を失う彼に「確か少し前に変わったんだよ」と私は言った。  彼は急いでスマホで真実を検索する。 「ほんとだ……!」 「でしょ?」  そして真実を知った彼はわなわなと震えたかと思うと、急に拳を握りガッツポーズをした。 「やったー! 鎌倉幕府が7年も延びたぞ!」 「え、そこ喜ぶとこなの?」  なんというサプライズだ、と嬉々とする彼を見て「変なやつだなあ」と私は思った。  そして。  意外と表情豊かで楽しい人なんだな、とも思った。
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