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彼に告白をされたのは、大学二年生の冬だった。
漫研サークルで「忘年会」と称した飲み会が終わった帰り道のことだ。
他の部員たちは二次会のカラオケに行ってしまった。
漫研のカラオケはアニソン大会になるので、漫画は好きだけどアニメは見ない派の私と数也は二次会には参加せず帰るのが常だった。
ぐるぐるに巻いたストールの隙間に入り込む北風が冷たい。
「寒いね」
「ほんとに寒い。はやく帰ってこたつに入りたい」
寒がりの彼はダウンジャケットにマフラーを巻いてニット帽を被っていても少し震えていた。
「せめて雪が降ればいいのに」
「雪降ったらもっと寒いでしょ」
「でも雪は好きだからさ。雪があれば寒さも楽しめるんだよね」
そう言って、彼は歩きながら空を見上げる。
夜空に雲はなく大きなオリオン座がはっきりと光っていた。
雪が降る気配も、もちろんない。
「……ああ、そういうことか」
ふと、彼は呟いた。
そしてオリオンを映していた目が私に向く。
「なに。どうしたの」
「うーん、なんていうか」
言葉を探すようにゆっくりと彼は言う。
「俺さ、漫画は好きなんだけど、人間関係は苦手なんだよね」
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