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 その言葉に私は頷いた。 「うん。わかる」 「わかっちゃったか」 「数也くんって、人付き合いとか空気読むとかできなさそうだしね」 「いやできるけどね。頑張れば」  彼は苦笑しながら言う。 「でも頑張らなきゃできない。俺は人間関係が苦手だから。……本当は、このサークルもこんなに続ける予定じゃなかったんだ」 「え、そうなの?」 「そうだよ。漫画が好きなだけで、飲み会は好きじゃないし。カラオケなんて絶対行きたくないし」  まあカラオケは行ってないんだけどさ、と彼はまた小さく笑った。 「でもサークルだし、そういうの避けられないことは分かってた。だから楽しくなくなったらやめようと思ってたんだよね」  数也は立ち止まった。  つられて私も立ち止まる。 「でも俺は、まだここにいる」  彼は真っ直ぐに立っていた。  猫背で漫画を読む姿ばかり見ていた私は、こんなに大きかったのか、と初めて気付く。 「君がいたから楽しめたんだ」  彼はもう震えていなかった。 「だから俺は、君のことが好きなんだと思う」  彼の告白を聞いて、私は頷いた。  どうして頷いたのか自分でもよくわからない。  彼の背景にオリオン座が浮かんでいて。  それがとても綺麗だと思ってしまったからかもしれない。 「私も、あなたのことが好きなんだと思う」      心がそのまま言葉になって零れたかのようだった。  私は自分がどんな顔でそう言ったかは分からないけれど。  へへへ、と冬空を背負う彼の笑顔は、やっぱり間抜けでかわいかった。  
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