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結果として、特に何の手がかりも掴めなかった。
『うーん、特に変わったことはないと思いますよ。というかカズ先輩最近全然来てないですし、たまに来ても漫画の最新刊だけ読んですぐ帰っちゃいます。うちはジャンプ発売日のコンビニじゃないんですけど』
という後輩の苦情交じりの返事が来ただけだった。
彼には今度一言言っておこうと思う。
人間関係の苦手な数也のことだ。近況報告を兼ねた雑談なんてしないか。
彼の普段の生活にも何の違和感もない。
何故私が彼の普段を知っているかと言うと、ほとんど毎日私の家に泊まりに来ているからだ。
彼も一人暮らしで自分の家があるはずだが「このソファがいいんだよね」とうちのソファ目当てで泊まりに来るのだ。
着替えや日用品もうちに揃っているので、半同棲のようになっている。
まあ私も一人暮らしだし、お風呂沸かしたり洗濯物畳んでくれるし、いつもお菓子を買ってきてくれるので嬉しかったりする。
唯一心配なことは、彼が自分の家に帰らなさすぎて、大家さんから捜索願が出されないかどうかくらいだ。
そんな風に一緒に生活している私から見ても、彼に変わったところは特になかった。
「ふぅ、お風呂頂きました」
「あ、おかえり。麦茶飲む?」
「ありがと」
お風呂から上がった彼は自分用のマグカップから麦茶をごくごくと飲んだ。
「はー。やっぱ夏は麦茶だね」
「いやもう9月だよ。夏って言うにはおこがましいでしょ」
「でも秋って言うには切なさが足りないよ」
彼はそんなことを言いながら、空になったマグをテーブルに置く。
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