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僕はまた、美佳に告白する。お、と美香は言う。そして、もちろんだよと笑った。
線香花火とは場違いに、ジャズ調のゴキゲンな音楽だった。
「ぽて、」
二人の声が重なった。
「終わっちまったな」
指揮者が指揮棒をピタッと止めたように、音楽が止んだ。ため息をつきながら、出たごみを片付ける。
もう日は落ちて肌寒くなっていた。
ポケットから煙草を一本取り出し、火をつけた。
「じゃあ、また来年」
音楽を聴きに、線香を落としに、来年も来ることを僕は誓った。
満月が地平からひょっこり顔を出してこちらを覗いている。
煙が一本、筋になって夜空に上がっていく。真っ赤な火がじりじりと近づいてくる。灰を落として、咥えタバコのままに鼻歌交じりで坂を下った。
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