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あるところに長く交戦状態にあるA国とB国があった。
両国は長きにわたる争いで疲弊していた。
そこでA国はB国にある提案をした。
「これ以上の争いで人命を失わないために仮想空間を使用した対戦ゲームの勝負で決着をつけよう」と。
長く戦争状態にあったB国が、このような提案を素直に受け入れるとは到底考えられていなかったが意外にも返事は肯定的なものであった。
「よかろう、そのかわり公正を期すためにいくつかの条件を飲んでもらいたい」
A国は、これ以上人命を失うことなく決着がつくということで喜び条件を飲むことに同意した。
B国からの条件はこうだった。
・開催日は休戦日としてすべての軍備を解除すること。
・自国に有利になるような細工を行えないように第三国が運営を行うゲームにすること。
・ゲームプレーヤー、国の指導者、軍関係の人間が自国の一ヶ所に集まり不正を行わないように監視すること。
B国は卑怯な手を使うのかと思いきや、公正に早く戦争が終わることを望んでいるように思えた。
戦争の代わりに行う対戦ゲームは3次元空間を舞台とした市街地での銃撃戦で敵チームが全滅するか、相手チームの陣地を占領することが勝利条件とすることで同意された。
A国は国会施設を対戦ゲーム会場とした。オンライン対戦ゲームを有利にするために専用の高速回線を敷設し、最新のコンピュータをゲーム専用にチューニングし、プレーヤーも選りすぐりの精鋭を集めた。
B国は冷戦時代の核シェルター内の軍の設備を対戦ゲーム会場とした。
B国はA国にくらべコンピュータが普及しておらず設備が少ないため、唯一設備が比較的揃っている核シェルター内の軍の施設を使用するとのことだった。
オンライン対戦を行うゲーム用に新しく回線を新設することもなく、市販品のコンピュータを使用しゲーム自体も初めてプレイする者ばかりだった。
そして、世界初のネットワークゲームを使用しての戦争は行われた。
A国では国会施設に、B国でも核シェルター内に、プレイヤー、軍の関係者、国の指導者が集まった。
ネットワークゲームを使った戦争の開始はビデオ通話の合図で告げられた。
A国は開始の合図と同時に部隊を展開、素早く各自の持ち場に付き準備万端でB国を待ち受ける形を取った。
B国のプレイヤーははたから見てもモタついていて実力差は明らかに思われた。
B国のプレイヤーは待ち受けていたA国のプレイヤーに一人また一人と倒されて行く。
ついにB国のプレイヤーは残り一人となり、A国の勝利は目前に思われた。
しかし、その時A国の防空レーダーに反応があった。
B国よりミサイル!まっすぐこちらに飛んできます!
A国の国会施設はミサイルにより跡形もなく破壊されプレイヤー、国の代表、軍関係者は壊滅した。
翌日、B国は長きに渡った戦争が終結したことを宣言した。
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