星の緑の花の歌

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「山本先輩はアレを直すって言ってるけどさ、僕は無理だと思うんだよ。だって、あんなに何もかもぐちゃくちゃになっていたんだから」  もはや相手がもの言わぬ木石でも、幻でもよかった。今は話を誰かに聞いてほしい気分だった。 「僕たちは、少し前にこの星に調査に来たんだよ。この星を覆いつくす緑の巨大な植物の実態を調べにね。あれは人工的に作られたもので、もともと酸素がないこの星の大気を、地球のそれに近づけるための、いわば装置なんだ。そして、装置だから、決められた時間に活動を終えるはずだったんだ。でも、ここに根付いたやつは、あらかじめセットされた時間になっても、枯れる気配がまるでなかった。どんどん巨大化して、おかげで星の酸素濃度は急上昇。人が住むってレベルじゃなくなってきた。そこであわてた宇宙開発会社が派遣した調査員が、僕たち二人ってわけなんだ」  ぐっと胸を張り、幻の少女に説明した。僕の話を理解してるのか、してないのか、彼女はこくんとうなずいた。 「調査は最初は順調だった。でも、きのう、野外調査を終えて、ベースキャンプにもしている宇宙船に戻ったら、そこはもう、緑のツルがひたすら生い茂っていて、ぐちゃぐちゃになっていたんだ。すごい速さで成長したんだろうね。僕たちの宇宙船はツルに押しつぶされて、大破していたし、中にもツルが侵入していて、ほとんどのものは使えなくなっていたよ。あらゆる精密機械をはじめ、ちょっとした小物や、水や食料ですら、ね。本当にぐちゃぐちゃとしか言いようのない、ひどい、絶望的な有様だった」
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