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「おいおい、冗談だよな?」
和也はかつて自分が所属していた機関に呼び出されていた。「秘密結社ブレイカー」と死闘を繰り広げた愛と正義を掲げる「特別正義執行機関ジャスティス」だ。
今から十五年前、和也と四人のクラスメイトは高校生戦士としてジャスティスーツという強化戦闘服を身に纏い、凶悪な超能力者やサイボーグと戦ってきた。因みにジャスティスーツとは彼ら高校生の正体が世間に知られて将来が危ぶまれないよう、顔を隠すという用途目的もある。
彼のポジションはレッド、つまりはチームのリーダーだ。時に喧嘩し時に苦しみを分かち合った仲間達。しかし戦いが終わると共にチームは解散、メンバーはそれぞれの道を歩んでいった。
「なんでまたオレが選ばれた?」
「すまない。レッドの適任者がいなかったんだ。どうやら少子高齢化の影響は思いの外強いらしい」
申し訳なさそうに司令官が俯いている。当時より頭頂部の侵食が進んでいるのがよく見える体勢だ。
「オレにも養わないといけない家族がいるんだ。昔みたいに無償でヒーローは出来ないよ」
「心配するな。君の会社にはこちらから辞表を出しておいた」
「全然大丈夫じゃねぇ」
「しっかり給料出すから!それに仕事としてしてくれたら色んな制約とか気にならないでしょ!?」
「うぅむ、本当ですよね……?」
「勿論だともっ!」
必死に縋ってくる司令官が可哀想に見えてきてしまい、和也は渋々了承することにした。
ただし家族の身の安全、そして妻や娘が楽して生きていけるくらいの給金を出すことを条件として。
「そういえば最近うち以外のところも正義の名の下に戦っているようなんだ」
「知ってます。確かキラマジなんとかっていう女の子達ですよね」
「そうそう。で、今度その子達に会ったらジャスティスの司令官が会いたがっていると伝えて欲しいんだ」
「はぁ……」
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