嘘つきたちのかくしごと

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嘘つきたちのかくしごと

 この世には、優しい嘘と人を傷つける最低な嘘がある。  たとえば、相手の好きなものを肯定してあげたくて、あたかも自分もそれが好きだと便乗する時の嘘。自信がない友人を勇気づけるために吐いた嘘。必ずしもそうとは言えないが、これらが優しい嘘に定義されると思っている。  逆に人を傷つける嘘とは、親友と仲違いした時に勢い任せで吐いた心にもない言葉や、ドッキリなんかが含まれると思う。  人間が生きる世界には、こうした嘘が幾つも蔓延っている。  では、人の死を隠すことは、一体どちらに分類されるのだろうか。事実を告げない、本人のためにならない、そんな理由から人を傷つける嘘になってしまうのか。はたまた、その人を想って傷つけないように守るための優しい嘘か。  これは、親友の死を隠す優しさとエゴに塗れたクラスメイトのお話。  俺が、今もなお正しかったのかと後悔し続ける嘘の話だ。
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