夜が明けたら、きみに。

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「おぎゃあ」 「おめでとうございます!」 「おぎゃあ」 「男の子ですよ~」 「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」 「元気なお子さんですね!」 ずっと暗闇の中にいたせいか、外の世界は眩しくておぼろげにしか見えない。 抱きかかえられたと思ったら、ふっくらとした唇が頬にそっと触れた。 忘れることのない、懐かしい感触。 ごめんね、長い間待たせて。 ずっと会いたかった。 もうどこかになんて、行かないから。 「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」 俺は話し続けた。 最後に会ったときより随分と大人びた、涙を流し微笑んでいる、きみに。
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