35人が本棚に入れています
本棚に追加
「おぎゃあ」
「おめでとうございます!」
「おぎゃあ」
「男の子ですよ~」
「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」
「元気なお子さんですね!」
ずっと暗闇の中にいたせいか、外の世界は眩しくておぼろげにしか見えない。
抱きかかえられたと思ったら、ふっくらとした唇が頬にそっと触れた。
忘れることのない、懐かしい感触。
ごめんね、長い間待たせて。
ずっと会いたかった。
もうどこかになんて、行かないから。
「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」
俺は話し続けた。
最後に会ったときより随分と大人びた、涙を流し微笑んでいる、きみに。
最初のコメントを投稿しよう!