夜が明けたら、きみに。

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切りっぱなしボブの黒髪に、ぱっちりとした目。 ふっくらとした唇。 ちょっと俺より背が低くて、フリルのスカートが似合う身体。 猫のように目を細めてくすくす笑い、ぷにっとした柔らかい腕でくっついてくる。 俺の好きなタイプど真ん中だった。 平日だけでなく土曜日の夜まで上司と一緒にいるのは苦痛以外の何物でもなかったが、キャバクラにまどかちゃんが出勤しているときだけは、元気が出た。 キャバクラのあとはスナックに連れていかれるのがいつものパターンだったが、たまに上司が途中で切り上げて帰ることがあって、そんなときは一人キャバクラに残ってまどかちゃんと楽しんでいた。 そのうち店が終わったあとアフターに行くようになり、ふたりで朝まで飲んだり食べたりするようになった。 やがてお互いの身の上話までして、店員と客という線を跨いで、男と女の道を歩みはじめるようになっていた。 「今度のお休み、昼から遊びに行こうよ」 お店を出たら、自然と手をつないでいて。
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