夜が明けたら、きみに。

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ふざけんなよ。 飲んだら乗るな、乗るなら飲むなって、習わなかったのか。 「追い越しましょう」 タクシーは少し速度を落として、ぐらんぐらんする自動車を抜き去った。 追い抜き様に見た運転手の赤い顔は、暗く目が座っていた。 バックミラーから自動車が消え去ったのを確認したら、急に眠気が襲ってきた。 後部座席のシートに深く身体を預け、目をそっと閉じる。 いつもなら、寝てしまって気づいたときには夕方になっていることにため息をつくだろうけど、今日は寝心地のよい夢が見られそうな気がした。 信号に引っかかったのか、ゆっくりと減速するタクシー。 アイドリングするエンジンの音と揺れが余計に眠りを誘う。 だめだ。 家の近くに着いたら起こしてもらおう。 そう頼もうとした瞬間。 「うわああああ!」 突然の叫び声に目を開けた途端、顔面蒼白な運転手とバックミラーいっぱいに映る車が見えた。 ガシャーン!!! 経験したことがない轟音と衝撃が身体を包み込んだ。
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