夜が明けたら、きみに。

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酒臭い息を吐いてそうな赤い顔を思い出すと、怒りが湧いてきた。 まどかちゃんの顔を思い出すと、さらに怒りが増した。 手足をばたつかせ、ドンドンと壁を殴り、蹴る。 早く出せってんだよ! もう少しじゃなくて、今すぐ出せよ。 おい! 暴れていると、壁が少しだけ膨らんだ気がした。 おっ。 これは、もしかして。 さらにドンドンと壁を蹴り続けていると、ふいに密閉されていたはずの空間が拡がって、何かが弾けた。 やった! 暗闇の空間に、忘れかけていた新鮮な空気が流れ込んでくる。 くぐもって聞こえていた外の騒音が、少しずつ輪郭をみせて聞こえてた。 「もう少し」
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