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「ねえ私たちって未成年だから、お酒飲んでるのバレたら捕まっちゃうのかな」
「大丈夫でしょ。副島さん誕生日いつなの?」
「今月。二十五日」
「ウソ! 全く一緒! 俺も十一月二十五日」
取りとめのない会話も心から楽しんでいたけれど、二人の誕生日が全く同じだとわかってからは更に盛り上がった。それはものすごくスペシャルな共通点に思えたし、誇らしくさえあった。
二時間ほどそこで過ごし、店を出た。入った時より気温が下がっている。しばらく、黙って歩いた。
「ねえ副島さん」
「んん?」
冷たい空気で少しはシャキッとしたものの、まだ酔い心地で歩きながら、龍之介の次の言葉を待った。
「よかったら、今度の誕生日、一緒に過ごさない? 二人で」
彼はそう言った。気がした。そんなに酔っているつもりはなかったのだけれど。
龍之介は突然立ち止った。
「俺と、つき合ってくれないかな」
やっぱり、けっこう酔っていたのかもしれない。だって、今度はそう聞こえた。
「ダメ……かな……」
あの立花龍之介が、緊張の面持ちで佇み、こちらを見ている。
夢なのかもしれなかった。だとしたら、このまま一生この夢の中にいたい。ぼうっと龍之介の顔を見つめ返しながら、そんなことを思っていた。
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