愛玩動物

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愛玩動物

「いいなぁ、サキの所はこの間わんちゃんを飼ったんだって。豆柴らしいんだけど」 「へぇ、いいなぁ。私の所は猫を飼ってるんだけど、犬もかわいいよね」    顧問もそれほど見回りに来る事も無いし、自分達の自由にできるので、このクラブを選んだのは正解だった。  文化祭のとき以外は、自由に制作できるので放課後、美術室に集まると私達は遅くまで話しこんでいた。  好きな芸能人の話しだとか、流行りのドラマだとか親の愚痴、勉強だるいとか。 「ねぇ、ユキもペット飼ってるんだよね。写真とか無いの?」 「うん、うちの子は良く動くから……それに大きいんだよね」 「えー、大型犬か何か? 爬虫類だったらやだなぁ」  私は、曖昧に笑うとそろそろ、餌をやる時間だと言って先に帰る事にした。実はペットを飼っていると言う事は親にも言ってない。  ――――私の唯一の隠し事だ。 「ただいまー」 「おかえり、お母さんちょっとこれからPTAの集まりがあるから、冷蔵庫に入ってるものチンして食べてね!」 「わかった、課題終わらせてから食べる」  私は手を洗うと、そのまま二階の部屋へと向かった。暫くして、母さんが家を出た気配を感じると私は早速ペットに会う為に跪いた。  ペットと言うのは、彼女達に説明するのが面倒だからだ。所詮、あの子達には偉大な者の存在など、理解する事は出来無いだろう。  三週間前、私は奇妙な本をネットで購入したのがあの方との出会いだ。  こんな古い本が最低金額で売られていたので試しに買ってみたのだが、購入した瞬間に、出品者の名前は消えそのサイトも閲覧できなくなっていた。  そう、私はあの方に選ばれたのだ。  優越感に浸りながらポケットから取り出した銀の鍵を本に差し込む。魔法陣が浮かぶと私は呪文を唱えた。  一にして全。全にして一。  強大な外なる神。  偉大なる邪神。  私は銀の鍵を持って銀の門を超える。  ニンゲンという下等生物が、その姿を直視する事さえ憚られる偉大な宇宙の神。  虹色に泡立つ不定形のお姿はどの生物よりも美しい。  いずれ、私はこの方との間に子供を作り、その子は偉大なる邪神の手足となるのだ。  それまでに彼を讃える者達を集めなければならない。 「偉大なる外なる神、ヨグ・ソトース様」
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