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翌日はなんとなく余所余所しく過ごした。
期限まであと1週間。
(こんなことして、意味あったのかな…)
僕は分からなくなっていた。
夕方になって、ゆき子が外出の用意をしているのに気づいた。
「留守番、お願いね。私、内藤君のところに行ってくるから。」
丸まっていた僕は思わず、飛び起きる。
「大丈夫よ、お泊りはしないから。ちょっと確認したいことがあるの。すっきりしてくるわ。」
彼女は玄関でマスクを装着して、準備万端出掛けていった。
止める方法も、資格も僕にはない。
確認する?いったい何を?まさか恋心?でもちょっと早すぎないか。それこそまだ、僕の四十九日も終わっていないんだけど。僕の死を受け入れられないんじゃなかったの?…恨み言ばかりが頭に浮かぶ。本当は、応援すべきなんだ。きっと。内藤は仕事も出来るし、何よりいい奴じゃないか…。
ネコガミがこっちを見ている。本心を見透かすような目。
(こっち見んなっ)
これは八つ当たりだ。
予想よりは早い時間にゆき子は帰ってきた。ほろ酔いで。ご機嫌で。
「なんかねー。内藤君と、よく分からない友情で結ばれちゃったよ。」
(友情…?)
「友情だよ。何でも話せる素敵なお友達。あ、疑ってる?ないないない。内藤君、私なんか眼中にないから。」
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