4. 匡久の自慢話

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桐生(きっっりゅうー)くんっ!」  朝礼が始まる前、医師詰所で、匡久は誠志郎に声をかけた。  誠志郎は、一歩、後じさり、警戒するように匡久を見る。 「何です、院長」 「あ。君、今、僕が何か無茶振りすると思ってるだろ」 「はい」 「……。なあ、今日も郁ちゃん弁当?」 「そうですよ」  その呼び名はやめてほしい、と誠志郎の目が訴えている気がしたが、匡久はそれは無視した。 「今日、時間あったら、昼めし一緒に食べない?  天気いいしさ、久々に屋上で食べようよ」 「私はかまわないが。何時にしますか?」 「今日は外来ないし、たぶん十二時で大丈夫だと思う。  でも、君も詰所に来るだろ。それから一緒に行こうよ」  C棟の屋上は、院長室の奥の非常階段を昇ってすぐだ。  エレベーターは屋上には通じていない。  そのためか、職員もほとんど誰も来ない。
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