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すぐ飽きるだろうという匡久の予想を裏切り、奏の弁当作り熱は過熱していった。
見ていると、家でもネットで料理のレシピを検索している始末である。
どうやら、匡久のために作っているつもりらしく、「どれが好き?」などと聞いてくる。
幸いだったのは、レシピが人参に偏らなかったことだ。
皮をむいたりしなければならないので、自分にはまだ難しいと思ったらしい。
ともかく、努力の甲斐あって、一、二週間も経つうちに、奏はめきめきと弁当作りの腕を上げた。
現金なもので、そうなると、匡久も毎日、弁当を渡されるのが楽しくなってくる。
何であれ、息子の成長を見るのは楽しいものだ。人参がなければ。
性格が出るのか、奏の作る弁当は、几帳面な郁人の弁当とはまた違って、どことなく可愛い。
それを見ると、匡久は最近、妻のまりえが作ってくれていた弁当を思い出す。
新婚の頃には特に「愛妻弁当が可愛すぎる」と、よく同僚たちに冷やかされた。
その弁当に、奏の作る弁当は似ていた。
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