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「三輪。僕たちの関係に、名前をつけないか」
すると三輪は、目に見えて身を固くした。
「あ、違う。本当に単純な意味で。そうだな。……スカート連盟というのはどうだろう」
ふ、と三輪が小さく吹き出した。目元だけが、軽く緩んでいる。
「いいよ。私のスカートを、連盟の共有財産として提供する。上郷くんもそうしてくれる?」
「もちろん」
「いつか、親とか保護とか、そういうものと関係なく、好きに生きられる時が来るわよね。だから今は、未成年スカート連盟としておきましょう。二人とも、未成年ではなくなるまで」
了解。
その時、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
僕たちは玄関に立ち、やってきた警察官を出迎えた。
先頭にいた婦警が、僕の格好を見て一瞬、ぎょっとした。
「……着替え忘れていた」
「迂闊ね」
「君、気付いていただろう。……お巡りさん、これはですね、とても僕にとっては自然な格好なんです。何しろ、僕たちは……」
二人して、声を揃える。
「未成年スカート連盟ですから」
婦警は、短く何かを考えてから、
「似合っているわね」
僕と三輪は顔を見合わせた。
恐らくはお互いにだけ分かる、僕らなりの笑顔で、この連盟は活動を開始した。
終
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