未成年スカート連盟

7/9

38人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 翌朝、水曜日。  変なことを聞かれたせいか、朝の五時過ぎに目が覚めてしまった。  うちは二階建ての一軒家で、僕の部屋は二階にある。部屋着のまま、たまには早朝の空気を吸おうと、玄関から外へ出た。  ふと見ると、門の下に包みが置かれている。紙袋の上辺に、カードが貼り付けてあった。   <上郷くんへ。これは誰かの落し物です。拾った人が好きにしてください。落とした人のことは、もう考える必要はありません>  中身は、あの赤いプリーツスカートだった。  誰のものかは、考えるまでもない。  もう一度手紙を読み返して、背筋に悪寒が走った。  気がついた時には、僕は駆け出していた。  昨日までは普通だったのに。  誕生日の少し前になったら教える。その「少し」を、僕は勝手に、数日前くらいかと思い込んでいた。    ――来週まで――ずっとだっきにって言い続ける期間らしい――  ――今繰り返している言葉は――入滅するための準備――  僕は馬鹿だ。急激な情報過多のせいで圧倒されて、思い至れなかった。  あの時点での来週とは、今週を指すのだろう。そして、今週のいつまでのことなのか。 「少し前って、少しにも程があるだろう!!」  三輪の団地に到着した僕は、階段を駆け上がり、三輪の家のドアを引き上げた。幸い、鍵はかかっていなかった。  証拠はないが、三輪が開けてくれていたのだと思った。柄でもないお節介を働く同級生に、三輪に関わる余地を残してくれたのだと信じた。  玄関には、三輪のものだろうローファーがある。三輪はこの家にいる。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加