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「気持ちイイ…」
目の前の男が喘ぎ、腰を振る。
私の女の部分は男を咥えて濡れそぼり、滑らかになっているのに、心は乾いてる。
嫌な奴が来た。
私より年上の金に苦労のない、お坊っちゃま。
今日も来店…暇なのか?
最近立て続けに高級車を購入していく、上得意客。
しかし吟味しに来たのは商品の車だろうか?私だろうか?
「いらっしゃいませ、津久井様」
担当は私だが、彼が来店したら知らせる様店長に言われてる。アシスタントの若い子を走らせる。
「こんにちは!佐竹さん、又来ちゃった~」
相変わらずおネエっぽい話し方。
私を舐めるように見る目つき、
粘着質な物腰。
それさえなかったらイイ男の部類の容姿。
ハスキーな声だって好みだ。
初めて彼、津久井幹に会った時、私と同じ位の背丈の均整の取れた身体に、見惚れた。
男性にしては上背はないが、オーダーメイドであろうスーツのせいで、男性らしさが際立って見える。
一目で住む世界が違う人種だと分かった。
彼は顔立ちの似た年配の男性と、秘書らしき人と店内を見回っていた。
その時間のアポなし来客者担当だった私は、すかさず挨拶に行った。
年配の男性に探してる車種、使う用途等を伺い名刺を渡す。
「あら、貴女もミキ?」
「ハイ、美しいに希望の希でミキです」
次ぎに渡した若い彼の初めて発した女性っぽいイントネーションに少し驚いて、名刺に書いてある言わずもがなな説明を加える。
彼は自分の名刺を私に渡し、
「私もミキって言うの、宜しくね」
とウィンクをした。
名刺には、津久井 幹
ヘア&メイクアップ事務所代表とあった。
後で知ったが年配の男性は彼の父親で、大手芸能事務所の会長だった。
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